ETCマイレージのポイントが突然付かなくなった――阪神高速と名古屋高速ではすでにサービスが終了しています。なぜ打ち切られたのか、残ったポイントはどうなるのか、今後もおトクに走る方法はあるのか。本記事では終了の背景とユーザーがとるべき対策、代替割引をわかりやすく解説します。
サービス停止の真相を押さえれば、ポイント失効や割引損を避けられます。ドライブ好きなら知って損なしの最新情報をチェックしましょう。
ETCマイレージ終了の全体像をサクッと確認

2021年以降、全国で統一的に続いてきたETCマイレージサービスに“空白エリア”が生まれています。阪神高速と名古屋高速が相次いでポイント付与を打ち切り、2025年3月には神戸市道路公社も離脱しました。
現在もNEXCO3社や地方公社の多くではサービスが健在ですが、都市高速の主要エリアが穴あき状態になったことで、ドライバーは「どこで貯まり、どこで貯まらないのか」を意識しなければ損をします。
まずはサービス終了の範囲、残ったポイントの扱い、そして他社道路での還元額利用の可否という三つの視点で全体像を整理しましょう。
- 終了した路線と最終ポイント付与日
- サービス終了に踏み切った主な理由
- 残ポイントの換金・消化フロー
- 今後も使える代替割引とポイント施策
終了した路線とポイント最終付与日のタイムライン
ETCマイレージの終了時期は道路会社ごとに異なり、「もう貯まらないけれど還元額は使える」「付与も還元もすべて停止した」などステータスもバラつきがあります。以下のタイムラインで、自分がよく走る路線の状況を確認しておきましょう。
道路事業者 | ポイント付与終了日と主な注意点 |
---|---|
阪神高速道路株式会社 | 2021年3月31日走行分をもってポイント付与および還元額充当を全面終了。貯まっていたポイントは同日自動消滅し、他路線へ持ち出し不可。 |
名古屋高速道路公社 | 2021年4月30日走行分でポイント付与を停止。還元額利用期限は2027年3月31日まで利用可能で、NEXCOや地方公社路線でも消化できる。 |
神戸市道路公社 | 2025年3月31日走行分でポイント付与終了。還元額は引き続き対象路線全体で利用可能だが、1ポイント=0.5円換算のため早期消化が無難。 |
- 上記以外の事業者(NEXCO各社・本四高速・広島高速・福岡北九州高速など)は2025年4月時点でポイント付与継続中。
- ポイントは道路会社ごとに独立管理。NEXCO東・中・西日本と宮城県道路公社だけは例外的に合算可能。
- 還元額(無料通行分)はシステム全体で共通通貨扱い。阪神高速を除き、他社路線で消化できる。
阪神高速・名古屋高速で打ち切られた背景を概観
ETCマイレージ終了の裏側には、単なる“コスト削減”以上の事情があります。阪神高速は距離制料金への全面移行と同時に独自の回数割引・定額乗り放題パス(阪神高速ファミリーコースなど)を拡充しました。
名古屋高速も料金体系の刷新と交通量平準化策を優先し、ポイントより即時割引に軸足を置いたのが実情です。さらに、ETCマイレージは国交省・NEXCO系が主体の共通システムのため、地方の都市高速が参加し続けると利用料の負担が割高になる点もネックでした。
- 距離制導入や料金再編で「後付け還元」より「即時料金調整」のほうが使いやすい
- ポイント管理サーバーや通知業務の運営コストが年間数億円規模
- 回数券・定額パスなど自社独自割引と機能重複し、プロモーションが分散
実際、阪神高速はマイレージ廃止後に「平日朝夕割引・深夜割引」を最大半額へ拡充し、名古屋高速は「名古屋高速ETC深夜割」を導入しています。表面的には「ポイントがなくなって損」と感じますが、両社とも新料金への置き換えで“リアルタイム値引き”を強化し、運営コストを下げつつ利用者の実益を確保する方向へ舵を切った形です。
ポイント制度は「貯めて・交換して・充当する」という三段階が必要ですが、即時割引なら決済時点で値引きが完結するため、ライトユーザーでもメリットを体感しやすいというブランド戦略上の利点もありました。
なぜサービスが終わったのか?3つの核心要因

阪神高速と名古屋高速がETCマイレージをやめた理由は「コスト」「ユーザーメリット」「将来投資」の三方向から説明できます。まず、距離制料金の導入や料金システムの統合にともなうサーバー更新費が年数億円規模に膨らみ、ポイント管理を残すと二重投資になる問題が顕在化しました。
次に、即時値引き型の深夜割・定期パスが急速に普及し、「貯めてから使う」ポイント方式は体感メリットが薄れたため、利用率が低下。
最後に、スマホアプリ連携やダイナミックプライシングへ移行するうえで、古いマイレージ基盤が足かせになった点です。これら3つの要因が重なり、都市高速各社は「ポイントよりリアルタイム割引」を選択しました。
- 距離制&クラウド化で運営費が増大
- 即時割引・回数パスがユーザーメリットで上回る
- スマホ連携施策に古い基盤が対応困難
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距離制料金・システム刷新によるコスト構造の変化
都市高速が距離制料金へ移行すると、決済サーバーは入口・出口の組み合わせごとに走行距離を算出し、料金テーブルを適用して課金します。
この時点でもリアルタイム演算が増えますが、さらにETCマイレージサービス(ポイント方式)を残すと、
- 料金算出と同時にポイント残高を読込み・更新する追加トランザクション、
- 月次バッチでのポイント累計・有効期限管理、
- 還元額の自動交換時に発生するNEXCO共通基盤とのAPI連携――が重なり、システム負荷と保守工数が大幅に増加します。
実際、阪神高速は距離制移行(2012年1月)に合わせてポイント付与を停止し、還元額利用も2021年3月31日で終了すると公式に発表しています。これによりポイント用サーバーを段階的に縮退し、距離制+即時割引へ一本化しました。
コスト項目 | 従来(均一料金) | 距離制+マイレージ(併用を継続した場合の概念図) |
---|---|---|
オンライン決済 | 入口固定値+出口固定値 | 区間距離×単価+ポイント残高照会(リアルタイム更新) |
データ保管 | 走行履歴のみ | 走行履歴+ポイント管理テーブル(残高・有効期限・交換履歴) |
夜間メンテ | 月次2回 | 月次4回(ポイント集計・自動交換処理を含む) |
- ポイント照会は数百ミリ秒以内など厳しい応答性能が想定され、オンプレ/クラウドのリソース増強が不可欠
- 距離制システムとポイント管理システムを併存させると二重保守となりROIが悪化
こうしたコスト構造の悪化を避けるため、阪神高速・名古屋高速など都市高速各社は「距離制+即時割引」というシンプルな方式を選択し、ポイント機能を段階的に廃止しました。名古屋高速でもポイント付与は2021年4月30日で終了しています。
ETCマイレージ以外の割引施策との機能重複
ポイント制度が廃止されたもう一つの理由は、既存・新設の割引と“キャラ被り”が発生したことです。
たとえば阪神高速は平日朝夕割引を45%から最大50%へ引き上げ、名古屋高速は深夜割引を30%→35%へ拡大。これらは走行直後に請求額が減るため、利用者は「貯める手間ゼロでお得」を実感できます。
- 平日朝夕割:翌月還元(マイレージ方式)→打ち切り後は“その場で値引き”
- 定期パス:月額サブスクで通勤定額→ポイントと併用すると割引率が過剰
- 回数券アプリ:スマホ決済で10回利用毎に1回無料→ポイントとPR競合
さらに、国交省が推進する「ETCX(モバイル決済+ダイナミックプライス)」実証に参画するためには、従来のポイント計算を外してAPIを軽量化する必要がありました。ポイントが残るとシステム改修が二重になり、利用者へのメッセージも複雑化します。
都市高速は“リアルタイム値引き一本化”でわかりやすさを優先し、結果としてETCマイレージは「役割を終えた」と判断されたのです。
ユーザーへの影響と残ポイントの扱い方

ETCマイレージが終了した路線を普段使っているドライバーにとって最大の関心事は「貯めたポイントをどう失効させずに使い切るか」です。阪神高速ではポイント自体が2021年3月末で消滅しましたが、名古屋高速と神戸市道路公社は還元額に交換さえしておけば他の対象道路で消化できます。
還元額はETCマイレージ全体の“共通通貨”として扱われるため、NEXCO東日本の東北道でも、愛知県道路公社のセントレアラインでも自動で充当される仕組みです。
問題は有効期限と交換単位で、1,000ポイントに届かない小口残高は手動交換しないと期限切れになる恐れがあります。
とくに神戸市道路公社は1ポイント=0.5円換算のため、早めに交換しておかないと損をしがちです。以下のフローチャートを参考に、マイページにログインして残高を確認し、失効リスクをゼロにしましょう。
- マイページで残ポイントと期限を確認
- 1,000ポイント未満でも手動交換を実施
- 還元額はNEXCO系などで計画的に消化
保有ポイントの有効期限・還元額消化フロー
ポイントには「付与年度の翌年度末」という明確な有効期限が設定されています。たとえば2024年4月に付与されたポイントは2026年3月31日23時59分までに交換しなければ自動消滅します。
還元額に交換してしまえば期限は無制限ですが、ポイントのまま残しておくとタイムリミットがある——これが落とし穴です。
しかも神戸市道路公社のように交換レートが0.5円換算の路線では、ポイントのままだと「半額価値」でカウントされるため、貯まりにくいうえに失効リスクも高くなります。下表は主要3社の期限・交換条件をまとめたものです。
道路社名 | ポイント 有効期限 |
最低交換単位/還元率 |
---|---|---|
名古屋高速 道路公社 |
付与年度+1年 | 1,000pt→1,000円 (1pt=1円) |
神戸市道路公社 | 付与年度+1年 | 200pt→100円 (1pt=0.5円) |
NEXCO各社 ※参考 |
付与年度+1年 | 5,000pt→5,000円 (最大10%還元) |
- 手動交換はマイページ/自動音声/事務局電話の3ルート
- 交換直後の還元額は即次回走行から充当
- 家族の車に同じETCカードを挿しても消化可能
小口残高が多い場合は、市街地の短距離走行で細かく消化するより、ゴールデンウィークなど長距離ドライブ時に一気に使うと家計インパクトが大きく感じられます。
ヘビーユーザーが感じるデメリットとリアルな口コミ
サービス終了後の最前線では、「ポイント二重取りできなくなった」「残高照会のたびに0円表示でがっかり」といった声がSNSに溢れています。特に阪神高速圏の営業ドライバーは月1,000km超えが珍しくなく、年間で見れば数万円相当の還元を失った計算になるためインパクトが大きいようです。
一方、名古屋高速の利用者からは「還元額を東名集中工事の迂回に充当できて助かった」というプラスの声もあり、路線横断で消化できる仕組みが救済策として機能していることが分かります。
- 「距離制で料金は上がるのにポイントまで無くなるのは二重パンチ」(Xより)
- 「名古屋高速のポイント、NEXCOで使えるの知らなかった!」(Threadsより)
- 「神戸の0.5円レートは悲しい…早く全部還元額に替えとけばよかった」(ブログコメント)
- デメリット①:貯蓄型メリット低下…月間走行量が多いほど損失額が大きい
- デメリット②:管理作業が増加…複数路線で期限や残高をチェックする手間
- デメリット③:心理的な満足感の喪失…「貯める楽しみ」がなくなったという声が多数
もっとも、「リアルタイム割引のおかげで経費精算がラクになった」という意見もあり、価値観は分かれます。結局のところ、ヘビーユーザーこそ最新制度を把握し、クレカ還元やNEXCOマイレージを組み合わせて“取り戻す”発想が重要です。
これからのおトク術!代替割引&ポイント活用法

ETCマイレージが使えない都市高速でも、うまく制度を乗り換えれば「ポイントロス」を最小限に抑えられます。柱になるのは(1)NEXCO系マイレージと地方公社ポイントのハイブリッド運用、(2)クレジットカードの高還元とETCコーポレートカードを組み合わせた即時割引の最大化、という二本立てです。
特にNEXCO東・中・西日本は5,000ポイント=5,000円交換の10%還元が健在で、2025年4月からは“フェリー連携割”が開始されるなど、おトク度はむしろ強化されています。
また地方公社路線(愛知道路・広島高速・福岡北九州高速など)には月間利用額に応じてボーナスポイントが付くため、マイレージ終了エリアの近隣ユーザーは「ポイントが貯まりやすい路線を通る」経路選択で実質割引率を引き上げられます。
加えてクレカ還元や走行即時割引を多段階で積み重ねれば、阪神高速のマイレージ廃止後でも年間2〜3万円規模の節約は十分に可能です。
- NEXCOマイレージ+平日朝夕割+深夜割=最大60%相当
- 地方公社ポイント100pt=100円+ボーナスポイント=実質20%超
- 高還元クレカ1.2%+ETCコーポレート割7%=約8%即時値引
NEXCO系マイレージ・地方公社ポイントの攻略法
NEXCO3社のマイレージは「距離×10円ごとに1ポイント」付与という単純設計ながら交換レートが5,000pt→5,000円と等価なので、走行額の約10%がキャッシュバックされる計算です。
地方公社路線では愛知道路コンセッションが月間5,000円超からボーナスポイントを加算するため、名古屋高速ユーザーを含む東海圏ドライバーが中部国際空港へ向かう際にセントレアラインを活用すると、還元率が一気に14〜19%へ跳ね上がります。
路線 | 基本還元率 | ボーナス適用後 |
---|---|---|
愛知道路 | 1%(100円=1pt) | 最大19% |
広島高速 | 1% | 最大20% |
福岡北九州高速 | 1% | 最大20% |
- 月初に長距離利用してボーナス閾値を先に超え、残りの月は市内移動でも高還元を維持する「前倒し走行」戦略が有効です。
- NEXCO+宮城県道路公社はポイント合算が可能なので、東北旅行と関西出張を一本化すれば早期に5,000ptへ到達できます。
- ポイントは翌年度末失効なので、年末年始ドライブや帰省で一気に還元額を使い切ると管理コストも削減できます。
- 地方公社ポイントは他社と合算不可のため、付与路線を集中させないと交換単位に届かない
- 一部公社(神戸)は1pt=0.5円換算のため、還元効率が低い
クレジットカード還元・ETCコーポレートカードとの併用戦略
マイレージ終了エリアを主戦場にしているドライバーは、「高速=即時割引」「決済=高還元」という二層構造で節約を狙いましょう。
クレジットカードはリクルートカード1.2%、楽天カード1.0%、JCB CARD W 1.0%など年会費無料で高還元のカードを選択し、ETCコーポレートカード(NEXCO大口・多頻度割)が使える法人なら、同カードで最大9%の即時割引を先取りできます。
法人契約が難しい個人事業主やフリーランスも、ガソリン系カード+走行即時割引で年間コストを圧縮可能です。
- ステップ1:ガソリン系高還元クレカ(ENEOSカードP 1.5%相当)をETCに紐付け
- ステップ2:タイムセール型の「ETCX深夜30%割」を狙って走行
- ステップ3:還元ポイントはPontaやdポイント経由でチャージし、次回給油か高速代に充当
- クレカ還元 1.0% → 約450円
- 深夜割引 30% → 約13,500円
- ガソリン系ポイント充当 → 約1,200円
- 合計:約15,000円節約/月
ポイント制度が縮小したとはいえ、即時割引・高還元決済・路線選択の三段ロケットを組めば、従来以上の節約効果も十分に期待できます。「貯める」から「リアルタイムで引く」へ発想を転換し、2025年以降もスマートに高速道路を使いこなしましょう。
まとめ
阪神高速・名古屋高速のETCマイレージ終了は、距離制移行やコスト削減が主因でした。ポイントは期限内に還元額へ交換し、他社路線で消化可能です。今後はNEXCOマイレージや地方公社ポイント、クレカ還元、ETCコーポレートカードを組み合わせれば割引メリットを維持できます。終了の理由と代替策を押さえ、無駄なく高速代を節約しましょう。最新路線情報も随時チェックして、損失ゼロのドライブ計画を立ててください。