首都高はETCマイレージのポイント対象外――でも諦める必要はありません。本記事では首都高でポイントが付かない公式の理由を整理し、NEXCO併用ルート・高還元ETCカード・首都高独自割引などで高速代を取り戻す5つの具体策を解説します。
首都高でポイントが付かない理由

首都高速道路株式会社はETCマイレージサービスに参加していないため、ゲート通過時に送信される走行データがマイレージ事務局へ連携されず、ポイント付与処理がそもそも走りません。
ETCマイレージは「参加道路会社が定める還元財源をポイントとしてユーザーへ返す」仕組みですが、首都高は独自の料金・割引制度を優先し、還元財源を別の施策(深夜割引や期間限定パスなど)に充当しているのが実情です。
その結果、料金決済自体はETCカードで可能でも〈ポイント還元=ゼロ〉となります。またNEXCO区間と首都高区間を連続走行した場合、課金境界で料金が分割されるため「NEXCO側の料金のみポイント付与、首都高側は付与なし」という不完全な結果になる点も覚えておく必要があります。
区分 | ETCマイレージ扱い |
---|---|
NEXCO東/中/西日本 | ポイント10%付与(道路別) |
本州四国連絡道路 | ポイント10%付与 |
首都高速道路 | 対象外:ポイント0% |
- 首都高速道路株式会社
- 阪神高速道路株式会社
- その他一部の都市高速
ETCマイレージ対象路線一覧と首都高が除外されるワケ
ETCマイレージ公式サイトの「ポイント付与対象道路会社」ページを見ると、NEXCO3社・本州四国連絡高速・愛知県道路公社などポイント付与対象道路会社は現在9社で、首都高速道路株式会社は含まれません。理由は財源と運営スキームの違いです。
マイレージ原資は各道路会社が自社収入から拠出する仕組みで、料金体系が距離制中心のNEXCOと、距離に関係なく上限料金を設ける首都高では原資設計が合わないため参加を見送っていると公表されています。
さらに首都高は車両混雑緩和を目的に深夜割引や環状線均一料金を導入しており、ポイント還元よりも「リアルタイムの料金調整」に注力しているためです。
- 公式一覧に首都高の社名がない
- ポイント原資を確保しにくい料金設計
- 既存の割引メニューで還元を代替
- 首都高もETCカードで支払える=ポイントも付く、は誤り
- NEXCO区間と合算請求でもマイレージは道路別に計算
公式サイトで対象道路を調べる手順と誤解しやすい注意点
首都高が対象外かどうかを自分で再確認する最短ルートは公式サイトのFAQと対象道路ページをチェックすることです。スマホの場合、トップページ下部の「よくあるご質問」→「ポイントはどの道路で貯まりますか?」を開くと、※印で〈首都高速道路株式会社など参加していない道路事業者があります〉と明記されています。
PCなら「サービス案内」→「ポイント付与対象道路会社一覧」をクリックし、一覧表に社名があるか検索(Ctrl+F)する方法が確実です。検索結果に「首都高速道路株式会社」が出なければ対象外と判断できます。
誤解しやすいのは「都市高速」というくくりで一部公社が参加している点で、名古屋高速道路公社は対象外ですが愛知県道路公社の一部路線は対象というように、社名と道路名が似通っているため混同しがちです。
操作 | スマホ | PC |
---|---|---|
FAQ確認 | メニュー→ガイド→FAQ | トップ→FAQ |
対象道路検索 | ページ内検索(ブラウザ機能) | Ctrl+F→社名入力 |
- FAQで※対象外会社を読む
- 対象道路一覧で社名検索
- 一覧に無ければポイント0と判断
- 「名古屋高速=対象外」「愛知県道路公社の猿投グリーンロード=対象」など社名相違に注意
- 一覧は年度単位で更新、登録後に新規参加する事業者もあるため年1チェック推奨
首都高ユーザーがポイントを増やす代替策

首都高だけを走っている限りETCマイレージのポイントは一切貯まりませんが、ルートを少し工夫するだけでNEXCO区間の10%還元を取り込めます。加えて、ETCクレジットカード側の高還元率ポイントを組み合わせれば、「道路ポイント0%」というハンデを十分に挽回できます。
ここでは、都心発着でも無理なくNEXCO路線を経由できるおすすめルート、年会費無料でもポイント還元率1.5~2.0%を狙えるETCカード活用術、の二本立てで解説。
通勤・レジャー・ビジネスを問わず“首都高メインだけどポイントも欲しい”というドライバーに向けた実践的な代替策です。
なおルート変更による時間増加を抑えるため、渋滞実績が少ない外環・圏央道の区間を中心にシミュレーションを行い、走行距離+時間+ポイント付与額のバランスを最適化しています。
- 首都高のみ走行:ポイント0%→カード還元のみ
- NEXCO併用走行:道路ポイント10%+カード還元
- 総還元率で実質7~12%を目指す
NEXCO区間を経由してポイントを獲得するおすすめルート
最短距離で都心に向かうと首都高オンリーになりがちですが、外環・東北道・常磐道・中央道などNEXCO区間を“つなぎ”として挟むことでポイントを確実に獲得できます。
代表例は埼玉南部⇔都心の通勤ルート。浦和ICから外環を経由して板橋JCTで首都高に乗り換えると外環部分の通行料がNEXCO扱いとなり10%ポイントが加算されます。
朝ラッシュ時の外環は首都高池袋線より渋滞が緩いケースが多く、時間ロスは平均+5分程度。ポイント付与額と燃費向上で差額がトントンになるドライバーも少なくありません。さらに川口線→東北道→首都高C2を使う「迂回ルート」は距離増に対し渋滞回避効果が高く、外環と同様ポイント付与対象です。
ルート例 | ポイント発生区間 | 時間差/付与pt |
---|---|---|
浦和IC→外環→板橋 | 外環浦和~高島平(440円) | +5分/44pt |
川口(東北道)→C2 | 新都心西~川口JCT(550円) | +8分/55pt |
横浜北線→第三京浜→玉川 | 第三京浜港北~玉川(390円) | +4分/39pt |
- NEXCO区間を1区間でも通過すれば NEXCO区間の料金に対してだけ 10%相当のポイントが付与される
- 渋滞減×燃費向上で時間ロスを実質相殺
- 深夜割引と他割引を重ねても割引率は原則50%が上限(深夜20%+都心流入・環境ロードプライシング等)
- ナビアプリで「高速優先」にすると首都高直行ルートに戻る→経由地を外環ICに設定
- 都市高速→NEXCO→都市高速の三段課金は境界割引が効かず高く付く場合あり
高還元ETCクレジットカードで“カードポイント”を貯めるコツ
ルート変更が難しいユーザーは、カード側のポイントで“疑似マイレージ”を底上げしましょう。年会費無料の「JCBカードW+ETC」「楽天カードETC」はリッツカードや法人ゴールドに比べても還元率が高く、ネット明細連携で自動管理が可能。
さらに2024年から始まったVisa LINE Pay クレジットカード(リビルド)は固定1.5%還元でETC利用分も満額対象です。
カードポイントはJALマイルやdポイント、楽天ポイントに交換できるため、実質的に航空券・電子マネー還元へ横展開ができる点が魅力。ポイント還元率×年間走行料金=節約額をシミュレーションすると、年間20万円の首都高利用でカードだけで3,000円~4,000円相当を回収可能です。
- 年会費無料+1.5%以上のカードを選定
- ETCカードを家族分追加発行し利用を一本化
- 「ETC利用通知サービス」を設定し使途別分類を自動化
カード | 還元率/年会費 | 主な交換先 |
---|---|---|
JCBカードW | 1.0%常時/無料 | OkiDoki→ANA/JALマイル |
楽天カード | 1.0%常時/無料 | 楽天ポイント→楽天市場/ふるさと納税 |
Visa LINE Pay | 1.5%常時/無料 | LINEポイント→PayPay/ANAマイル |
- ETCカードを家族全員分発行→走行を集約
- カード公式アプリでETC利用速報をプッシュ通知
- ポイントモール経由のチャージで実質還元率2%超えも可能
- ETCカードは年会費有料のケースあり→楽天は550円、JCB Wは無料
- 家族カードのETC利用は本会員ポイント合算=家計分離に注意
首都高でも得する割引・キャンペーン活用術

首都高速は ETCマイレージサービスのポイント付与対象外ですが、ETC限定の恒常割引を把握すれば実質的な通行コストを確実に抑えられます。
2025年4月時点で一般ドライバーが利用できる主な優待は「深夜割引」「都心流入割引」「湾岸線誘導割引」「障がい者割引」「環境ロードプライシング割引(大型車)」の五つです。
割引・施策 | 概要(2025年4月時点) |
---|---|
深夜割引 | ETC車が 0:00〜4:00 に入口アンテナを通過すると通行料金を一律20%引き(全車種) |
都心流入割引 | 外環接続端末部から都心環状線に入る場合、最寄り都心環状入口までの料金で頭打ち |
湾岸線誘導割引 | 横浜都心部〜三ツ沢線・狩場線利用車が湾岸線経由で都心環状線に入ると普通車上限950円などの上限料金を適用 |
障がい者割引 | 事前登録車は終日50%引き。現金支払いでも有人レーンで手帳を提示すれば対象 |
環境ロードプライシング割引 | 大型・特大車が横羽線区間を避け湾岸線・川崎線を利用すると最大1,000円まで割引。深夜割引と重複可 |
大口・多頻度割引 | 法人向け。コーポレートカード登録で車両単位最大35% + 契約単位10%=最大45%引き(2026年3月31日まで) |
- 深夜走行が多い場合は 0〜4 時に入口通過して深夜割引 20% を優先
- 郊外と都心を往復する場合は都心流入割引をチェック。湾岸線経由ならさらに割安
- 大型車は環境ロードプライシング割引と深夜割引の重複適用が最も効果的
恒常割引の詳細と組み合わせ方
- 深夜割引(ETC限定 20%OFF)
- 判定は入口アンテナ通過時刻
- 現金車は対象外。入口直前の ETC 未挿入に注意
- 都心流入系割引(入口上限制 + 湾岸線誘導)
- 外環道〜都心環状線間は距離に関係なく最寄り都心環状入口料金で打ち止め
- 横浜方面発なら湾岸線経由で普通車上限 950 円
- 障がい者割引(50%OFF)
- オンラインまたは自治体窓口で ETC カードと車両登録が必要
- 手帳忘れやナンバー変更未届は割引無効になるため注意
- 環境ロードプライシング割引
- 対象は大型・特大車。横羽線「大師〜浅田」を通らず湾岸線・川崎線を利用
- 割引率 20%・上限 1,000 円。深夜割引と重複可
- 入口通過が 0:00 前なら出口が 0:05 でも割引対象外
- NEXCO の休日割・深夜割とは別制度。合流区間ではそれぞれ判定
期間限定キャンペーンの現況
2025年4月現在、「首都高パス(1日乗り放題)」や「ETC 回数券キャンペーン」などの実施予定は公表されていません。
過去には 2008 年のホリデーパスなど単発例があるものの、最近は恒常割引の充実が中心です。最新情報は公式サイトの「料金・ETC・割引情報」ページと公式 X(@ShutokoOfficial)で告知されるため、フォローとメールマガジン登録が確実です。
- 公式 X(@ShutokoOfficial)をフォロー
- メールマガジン「首都高ファン」を購読
- Google アラートに「首都高 割引」「都心流入割引」を設定
恒常割引を適切に組み合わせれば、マイレージ対象外でも年間通行コストの 1〜2 割削減が可能です。特に深夜走行や郊外発着ルートが多いドライバーほどメリットが大きいので、上記制度をぜひ活用してください。
首都高→NEXCO乗継ぎで〈損しない〉料金&ポイント計算術

首都高速からNEXCO管轄の高速道路へ 連続走行 すると、料金は
「都市高速料金+NEXCO料金」の二段課金 となり、
ETCマイレージの ポイント(10%)はNEXCO区間にしか付与されません。
課金境界――すなわち料金計算の切替ポイント――を知らずに走ると、
首都高エリアを余計に走って料金が高止まりしたり、
NEXCO区間が数百円しかなくポイントがほとんど付かないなど、
損をするケースが少なくありません。
「どの乗継ICで降りるか」を押さえることが、
料金とポイントの最適バランスを取るカギです。
首都高IC | NEXCO課金開始IC | ポイント発生区間 |
---|---|---|
板橋JCT | 外環・高島平IC | 板橋JCT ▶ 高島平(外環) |
大井JCT | 東名・東京IC | 大井JCT ▶ 東京(東名) |
葛西JCT | 京葉道路・篠崎IC | 葛西JCT ▶ 篠崎(京葉) |
- 最初のNEXCO ICを1つ先まで伸ばすとポイント10%分が増える
- 外環・圏央道は渋滞が少なく時間ロスが小さい
- 都市高→NEXCO→都市高の三段課金は必ず料金シミュレーターで総額確認
乗継ICごとの課金境界を押さえてムダ払いゼロ
高速道路の料金システムは、都市高速とNEXCO本線で計算ロジックが異なるため、境界となるJCTやICで課金が切り替わります。代表的な境界は〈板橋JCT(首都高5号池袋線⇔外環道)〉〈大井JCT(湾岸線⇔東名)〉〈葛西JCT(湾岸線⇔京葉道路)〉の3カ所。ポイントを最大化するコツは「NEXCO側で最初に降りるICを1つ先に設定し、走行距離を最低15km確保する」ことです。理由は、外環・圏央道の普通車料金が3〜5km延びても100円前後の差額で、そこに10%ポイントが乗るため実質負担が変わらないかむしろ得になる場合が多いからです。実際に板橋JCTから高島平IC(外環5.4km)より川口西IC(12.7km)まで走ると、料金は440円→650円に増えますが、付与ポイントは44pt→65ptにアップし、総還元率はむしろ横ばい。加えて川口西IC周辺は渋滞緩和路線のため、池袋線で渋滞につかまる時間を相殺できます。
- Googleマップで目的地を設定し、経由地に「外環 高島平IC」などを入れてルートを作る
- 首都高・NEXCO料金シミュレーター(NEXCO東日本Web)で料金とポイントを確認
- 差額が+100円以内、ポイントが+10pt以上なら「1区間延長」を採用
- 大井JCT→東名東京ICは渋滞頻発、時間ロスが大きければ無理に延長しない
- 葛西JCT→篠崎ICは深夜以外渋滞が長いので節約効果が薄い
都市高速+高速道路を走ったときの料金・ポイントシミュレーション
ここでは「板橋本町入口→用賀出口」の首都圏縦断を例に取り、①首都高のみ、②板橋JCT経由で外環道高島平ICを挟む、③同じく川口西ICまで延長、という3パターンで料金とポイントを比較します。条件は普通車・ETC利用・平日昼間。
ルート | 首都高料金 | NEXCO料金 | 合計 | 付与ポイント |
---|---|---|---|---|
①直行 | 1,430円 | 0円 | 1,430円 | 0pt |
②高島平IC | 1,090円 | 440円 | 1,530円 | 44pt |
③川口西IC | 890円 | 650円 | 1,540円 | 65pt |
見てのとおり③は直行より+110円高いものの65pt(=65円相当)還元されるため、実質差額は45円。さらに外環走行で渋滞を回避できれば燃料消費と所要時間を加味してプラスになる可能性が高いです。
- 外環・圏央道を“ワンブロックだけ”追加してポイントを稼ぐ
- 料金差額とポイント還元差額を天秤にかける
- 月10回以上走るなら年単位で4,000~8,000円差が生まれる
- 都市高→NEXCO→都市高で課金が3回に分かれると総額が跳ね上がる
- 例:横羽線→東名→湾岸線のC2経由は料金3,000円超+ポイント少なめ
- シミュレーターで必ず総額を確認し、メリハリルートを選ぶ
まとめ
首都高速道路はETCマイレージに参加していないため走行ポイントはゼロですが、①NEXCO区間を組み合わせた乗継ぎルート、②クレカの還元率アップ、③深夜割引や首都高パスなど独自割引の活用で実質負担を大幅に減らせます。
走行前に対象路線を確認し、カードと割引を最適化すればポイントロスを埋めるどころかNEXCO利用者並みの節約も可能です。